てふこよもやま

俳句を詠んでいる松本てふこが書いています

2021-01-01から1年間の記事一覧

花火のはなし〜空気階段「花火」を見て作った俳句〜

2021年の自分にあった一番大きな変化は、芸人さんのラジオを聴いたり生まれて初めて(たぶん)お笑いのライブに行ったりするようになったこと。最初にハマったのが空気階段でした。KOC面白かったなあー。 彼らのYouTubeに上がっているコントの中で(全部観て…

野澤節子『飛泉』

浴身に氷片ふくみ夜の蟬 藤の雨足袋穿きしめて土不踏 書き更けて旅ゆくごとき足の冷え 闇よりも暁くるさびしさ水無月は さきみちてさくらあをざめゐたるかな 以下の句に「高橋悦男君、高き木へ登り揺すりて落とせしを」という前書きがあってびっくり。大学時…

女性俳人に関する他愛もない落書き①/清子、多佳子、久女

先日、ある結社のお招きで津田清子について発表してきました。学生の頃に『証言•昭和の俳句』(おもしろいです!おすすめ!)で彼女のインタビューを読んで、句も生き方も潔くて素敵!と思っていたのですが、なかなかその後深く読み込む機会がなかったんです…

湯浅洋子『浮布』

最近、90年代後半〜2000年代前半の、自分が入会する前の「童子」を読むのがめちゃめちゃ楽しくて(2018年当時)。今と雰囲気が全然違うんですけど、主宰の文章が今よりずっとキャピキャピしていたり、元気副主宰が持ち前のバイタリティでどんどん結社内での…

田代草猫『猫』

2001〜2002年ごろだったろうか、『俳句界』が「俳句界新人賞」という新人賞を運営していており、その時に受賞は逃したものの佳作か、そういった準賞のような立場で掲載されていたのが田代草猫(当時は蒼猫)だった。私が「童子」という結社を認識した、ほぼ…

小池康生『旧の渚』

現在「奎」代表として活躍中の作者。「奎」に集うメンバーはこの句集を読んだことがあるだろうか。なければ、ぜひ何らかの方法で入手するなりなんなりして欲しい。個性豊かな会員を優しく独特の距離感でまとめ上げる手腕の一端がこの第一句集で伺えるように…

小さな革命としての俳句~澤田和弥句集『革命前夜』~

※初出/「童子」2013年10月号 両手を広げて空を仰ぐ裸体の人間が重厚な色合いで描かれた表紙、鮮血をあしらい金文字を一部使用したデザイン、そういった装丁の強烈さがまず目をひく。 革命が死語となりゆく修司の忌 帯に太いフォントで刻まれたこの句のよう…

若林哲哉『掬ふ』

下に貼ったサイトでも読めるけど、句集の形で読んでみるのもオススメです。 百年俳句賞 〜『掬ふ』若林哲哉www.marukobo.com 空港と港向き合ふ良夜かな 景がわかりにくいという評もどこかで目にしましたが、そうかなあ、そこはスルッと理解できました。感覚…

大島雄作『一滴』

一句目が 手鞠つく地球しつかりしてくれよ で、ギョッとする。その次の句が 雪しんしん絵本に兎帰るころ で、あー…うー…となる。いきなりファンシーだな。困ったな…。戸惑いつつも読み進めていく。 菊人形同じ匂ひの主従なる これはなるほどと思った。「主従…

短歌をBL読みした文章①

※2018年に書いたもののお蔵出しです。ほぼ妄想です 僕たちは狂気の沙汰だ 鍵は落ちて雪の深さへ埋まっていった 千種創一 主人公は大学生くらいのカップルだ。彼らを邪魔するものはとりたてて無く、二人の間で恋が完結しきってしまい、ああ幸せだね、これ以上…

短歌をBL読みした文章②

※2018年に書いたもののお蔵出しです。ほぼ妄想です 一度だけ本当の恋がありまして南天の実が知っております 山崎方代 普段は俳句を詠んでいる私がBL短歌を知ったのはtwitterでのことだ。楽しそうだな、短歌は読み専だけど私にもできるかな、と見よう見まねで…

短歌をBL読みした文章③

※2018年に書いたもののお蔵出しです。ほぼ妄想です あの夏の数かぎりなきそしてまたたつたひとつの表情をせよ 小野茂樹 「あの夏、確かに仲間だった僕と君。苦難も挫折もたくさん味わったけれど、くだらないひとときの楽しさや何かを掴み取る喜びも得た。不…

短歌をBL読みした文章④

※2018年に書いたもののお蔵出しです。ほぼ妄想です 待ちたくて待っているのに夜の窓に映った顔のこの醜さは 染野太朗 「恋愛が楽しいなんて嘘じゃないか!」と登場人物が叫んでいるマンガを読んだことがある(タイトルは忘れてしまった)。ひどく爽快な気持…

黒田杏子『日光月光』

俳人というか、文化人というか、広告の人というか。「芸能人」の華やかさがありますよね。 小さい頃、父親が買ってきた週刊誌に有名人の交友録的なエッセイが載っていて、誰が誰やらわからないなりに読んだりしていましたが、寂聴さんや永六輔さん、その他多…

「ゲームさんぽ」で吟行しました

先日、こちらの2本の動画に出演しました。 この動画のために編集部のおふたりがゲーム内をロケハンして下さったようで、先日ロケハン動画がアップされていました。 本編の動画で遭遇したシチュエーションとはまた違った景色が見られて、新鮮に拝見しました。…

「奎」14号に取り上げていただいた話

俳句雑誌「奎」14号の巻頭特集「『奎』座談会 句集を読み合う」で私の句集『汗の果実』を取り上げていただきました。創刊から浅からぬご縁を感じる同人誌で取り上げていただけてうれしかったです!と書影付きでツイートしようと思ったんですが、ツイートだけ…

ちゅいんぐゎvol.1〜10

「渋谷道頓堀劇場」7句

※記事初出/2020年7月9日 最近、ストリップ劇場によく行きます。というわけで、先月末にひとりで観に行った時の吟行句を。 脚上げてそこに陰ある涼しさよ 両乳に血管はしる梅雨入かな 迫り上がる舞台に汗の踊子は 短夜をつけまつげごと目つむりて 冷房にスモ…

森下秋露『明朝体』

※記事初出/2020年8月25日 森下秋露『明朝体』(ふらんす堂) 第11回田中裕明賞応募作の中で気になっていた一冊。無事に受賞作も決まったので読もうと思います。 室の花恋に眼鏡は邪魔である この句知ってたかも。デート中に真顔で面白いこと言われちゃった…

言葉と目〜マッドマックス吟行句nuxable編〜【ネタバレ注意】

※記事初出/2020年9月13日 地上波初放送見たらやっぱりニュークスとケイパブルが大変可愛かった。一夜明けて彼らのタグ #nuxable タグを久々にあさっていたら、ちょっと詠み足りなかった!となったので。ca→nu目線とnu→ca目線で5句ずつ。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※…

第一句集『汗の果実』購入方法まとめ

松本てふこ第一句集『汗の果実』(邑書林/1800円+税)のんびり発売中です。入手方法をまとめておきますのでお役立てください。既に在庫切れの書店もあります(2024年3月13日現在)。 書店(直接納品しているお店のみ) ・小樽/がたんごとん(オンラインシ…