てふこよもやま

俳句を詠んでいる松本てふこが書いています

2023-01-01から1年間の記事一覧

ちゅいんぐゎvol.11

中川すなを『鳳笙』

金縷梅や余りし時間あたたかき 濡れながら小鳥のくぐる時雨虹 能登に入り停車時間の刈田風 結ぶこと数かず加賀の年用意 雪吊りや毀すと決めし家に住み 旅支度七草椀を置いてより 小寒のたたむタオルの白ばかり 討死と書かれし墓標雁渡る 花活けて孤島のごと…

山岸由佳『丈夫な紙』

俳句は可愛くなければならないかもしれない〜箱森裕美『鳥と刺繍』〜 - てふこよもやま この記事で触れている読書会の準備中、あ、この句集を読むなら今では?と思い読了。 『鳥と刺繍』が特に影響を受けているんだろうなと思った句はこのあたり。 繰り返し…

俳句は可愛くなければならないかもしれない〜箱森裕美『鳥と刺繍』〜

※こちらは、以下の読書会のレジュメとして書かれたものです。ご興味がありましたら聞いてくださると嬉しいです。 【第2回 #句集読書会 のお知らせ】 11月12日(日)21時〜、箱森裕美句集『鳥と刺繍』を読むスペース配信を、@paststrangerから行います。お気…

や団のコントで俳句を詠む

キングオブコント、今年も面白かったですね。 広島にいたのですが夜はホテルでビール飲みながら観ました。 どのコンビも面白かったですが、去年からや団のコントが好きなので 「はーやっぱりすごい……」ってなりました、特に。 あの灰皿ゴトゴトゴト……ってい…

髙橋亘『機影の灯』

下萌や一弾となる騎手と馬 同姓のまた呼ばれをり春の風邪 親方の来て剪定の華やぎぬ 春寒し抜歯のガーゼ強く噛む 凩や店の名前に灯が入る 「都市」所属、第一句集。工場を描くことで現代の労働を外から描いている。 (2023年・朔出版)

栗原利代子『軟体動物』『恋雀』

ご縁があっていただきました。 面白いんじゃないかな、と思っていたら本当に面白かった! 『軟体動物』(牧羊社、1991) 足の裏掻いて淋しき月夜かな 春夕焼チューインガムの噛み疲れ 夕焼けの空を翔けたき産後かな 肛門の存在感や寒の入 紅梅や吸はれて乳の…

『汗の果実』とサッカースタジアム

あなたにとって大事な作句の場所はどこですか?と聞かれたら、多分サッカースタジアムって答えると思います。 スタジアムの中っていうか、周辺で作った句も多いです。これはここで作ったよ、という自分用のメモを兼ねて。 ※呼称は2023年6月現在のものです ※…

岡田由季『犬の眉』

新しい句集が出たので、おさらい! 作り方に癖がなくてどんな題材でもさりげなく詠んでいるのがすごい。 野球の句がちょくちょくあって、どれもあんまり緊迫してなくて好きでした。 父と子が母のこと言ふプールかな 春の野に出でて棒読みのオフィーリア かな…