「天為」で有馬朗人に師事していた作者。「パピルス」にも所属しているとのこと。「天為」、端正で知的な書き手が多くて結社誌を読むと楽しいんですけど、『初葉』はまさに「天為」の良さが凝縮された句集だなーと思いました。
装丁と栞紐のブルーが素敵。カバーを外した時の色の方が好きだったな。
森の香の香水を買ふ誕生日
大学に街より早き秋の暮
鷹匠の据ゑ胼胝に鷹戻りくる
指さして濃くなる闇や風の盆
夕顔や酢を借りにゆく垣づたひ
うすきこと涼しと思ふ鉋屑
江戸絵図の外れに木場や水の秋
(2022年・角川書店)