下に貼ったサイトでも読めるけど、句集の形で読んでみるのもオススメです。
空港と港向き合ふ良夜かな
景がわかりにくいという評もどこかで目にしましたが、そうかなあ、そこはスルッと理解できました。感覚レベルですが。
空港のロビーで搭乗を待っている(夜の港で乗船を待っているのかも?)夜の、作中主体の心の華やぎがこの句の本当の主役じゃないのかなー。
春立つや海驢は背中から水へ
水しぶきが見える。
はつ夏や紅茶に変はる水と粉
はつ夏の使い方が巧い。ほっとするひとときを突き放して詠んでいるようにも、魔法みたい、とキラキラした気持ちで詠んだのかな、とも取れる。
花みかん鋏洗へばみづ重く
村上鞆彦イズムを感じますね。
百合くべて百合のかをりの焔かな
彼の初期の代表句だと思ってます。キマってるなあ。耽美!
うつくしくねぢのはづれて扇風機
私はこの句を初めて見た時から「うつくしく」は推敲した方がいいよって思ってて作者自身にも言っていますが……作者は思い入れありそうだなあ。
でも思ってるので言い続けるね。
夜の海を掬へば色のなき晩夏
陰りというかひやりとした感覚がどの句にも少しずつ混じっていて、それが彼の句をクールに見せたり耽美めいて見せたりしてるのかな。あと、ラストの句からタイトルを持ってきたんだー、なるほど。
50句のサイズ感、構成について改めて考えるいい機会にもなりました。
みんな読もう〜。では。