てふこよもやま

俳句を詠んでいる松本てふこが書いています

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

野澤節子『飛泉』

浴身に氷片ふくみ夜の蟬 藤の雨足袋穿きしめて土不踏 書き更けて旅ゆくごとき足の冷え 闇よりも暁くるさびしさ水無月は さきみちてさくらあをざめゐたるかな 以下の句に「高橋悦男君、高き木へ登り揺すりて落とせしを」という前書きがあってびっくり。大学時…

女性俳人に関する他愛もない落書き①/清子、多佳子、久女

先日、ある結社のお招きで津田清子について発表してきました。学生の頃に『証言•昭和の俳句』(おもしろいです!おすすめ!)で彼女のインタビューを読んで、句も生き方も潔くて素敵!と思っていたのですが、なかなかその後深く読み込む機会がなかったんです…

湯浅洋子『浮布』

最近、90年代後半〜2000年代前半の、自分が入会する前の「童子」を読むのがめちゃめちゃ楽しくて(2018年当時)。今と雰囲気が全然違うんですけど、主宰の文章が今よりずっとキャピキャピしていたり、元気副主宰が持ち前のバイタリティでどんどん結社内での…

田代草猫『猫』

2001〜2002年ごろだったろうか、『俳句界』が「俳句界新人賞」という新人賞を運営していており、その時に受賞は逃したものの佳作か、そういった準賞のような立場で掲載されていたのが田代草猫(当時は蒼猫)だった。私が「童子」という結社を認識した、ほぼ…

小池康生『旧の渚』

現在「奎」代表として活躍中の作者。「奎」に集うメンバーはこの句集を読んだことがあるだろうか。なければ、ぜひ何らかの方法で入手するなりなんなりして欲しい。個性豊かな会員を優しく独特の距離感でまとめ上げる手腕の一端がこの第一句集で伺えるように…

小さな革命としての俳句~澤田和弥句集『革命前夜』~

※初出/「童子」2013年10月号 両手を広げて空を仰ぐ裸体の人間が重厚な色合いで描かれた表紙、鮮血をあしらい金文字を一部使用したデザイン、そういった装丁の強烈さがまず目をひく。 革命が死語となりゆく修司の忌 帯に太いフォントで刻まれたこの句のよう…

若林哲哉『掬ふ』

下に貼ったサイトでも読めるけど、句集の形で読んでみるのもオススメです。 百年俳句賞 〜『掬ふ』若林哲哉www.marukobo.com 空港と港向き合ふ良夜かな 景がわかりにくいという評もどこかで目にしましたが、そうかなあ、そこはスルッと理解できました。感覚…