てふこよもやま

俳句を詠んでいる松本てふこが書いています

「童子」9月号感想メモ

あくまでメモなのですが。

 

老鶯のご機嫌と言ふほかはなく  東あふひ

連衆の先頭に立つ作家に贈られる「童子賞」も受賞し、波に乗っている作者。確かに老鶯にはこう思わせるところがある。手放しでゆったりと感心し、それ以外のことは言わない潔さが句を強くしている。

晶子忌のガザへの紙の募金箱  北柳あぶみ

「君死にたまふこと勿れ」と日露戦争時、戦地に赴く弟を詠った与謝野晶子。それ以降は戦争の際は戦意を高揚させる詩歌を発表したこともあり反戦家としては一貫性を欠いているが、発表当時や後世に与えたインパクトは大きい。掲句の季語もそのイメージに基づいて解釈すべきだろう。

この句は大きく分けてふたつの共感から成り立っている。ひとつは素材を詠むことから伝わる、「今やらなければ」という切実な企画者の思い。もうひとつは他の誰の私腹も肥やすことなくガザにこの募金が届いて欲しいという思い。「ガザへの」の「へ」は意味を圧縮して効率のいい表現を作るのに一役買っているが、それだけではない静かな気迫が伝わってくる。

 

イレブンを今かと待つや芝青し  小川春休

スタジアムより青葉見え天守見え  

カープ大好き春休さんがサッカーの話をするといつもざわついてしまう。これはどう考えてもエディオンピースウィングスタジアムに行ったとしか思えない……今年サンフレッチェ強いですもんね……今年は女子も本格的に強くなってる感じがするし……