てふこよもやま

俳句を詠んでいる松本てふこが書いています

中川すなを『鳳笙』

金縷梅や余りし時間あたたかき

濡れながら小鳥のくぐる時雨虹

能登に入り停車時間の刈田風

結ぶこと数かず加賀の年用意

雪吊りや毀すと決めし家に住み

旅支度七草椀を置いてより

小寒のたたむタオルの白ばかり

討死と書かれし墓標雁渡る

花活けて孤島のごとき寝正月

雪吊りをほどくや昼の月近く

翔んでゐる眼をして飛魚の売られけり

普羅の師系に連なる作者。序でこんなに師系の話してるのは珍しいなあ、と思った。

(2023年・角川書店