2023-11-26 中川すなを『鳳笙』 金縷梅や余りし時間あたたかき 濡れながら小鳥のくぐる時雨虹 能登に入り停車時間の刈田風 結ぶこと数かず加賀の年用意 雪吊りや毀すと決めし家に住み 旅支度七草椀を置いてより 小寒のたたむタオルの白ばかり 討死と書かれし墓標雁渡る 花活けて孤島のごとき寝正月 雪吊りをほどくや昼の月近く 翔んでゐる眼をして飛魚の売られけり 普羅の師系に連なる作者。序でこんなに師系の話してるのは珍しいなあ、と思った。 (2023年・角川書店)